Peleの導き
Joe Okuda氏のハワイライブを企画したのは、2010年12月、ハワイ、オアフ島で知人が行ってくれた「美しき神宮の森」の小さな上映会がきっかけでした。
「ハワイには日系の方がたくさんいる。きっと、喜んでもらえるのでは?」とのアイディアからでした。
期待通りに好評だったため、私たちは「では、実際にDVD上映を主体としたライブを行ってはどうか?」と思いつきました。
そして、場所を日系人の方とアーティストが多い、ハワイ島、ヒロに決めました。
ハワイ島は自然と人との距離が近い。だからこそ、余計にJoe Okuda氏のコンセプトを理解してくれる人が多いのでは?とも考えました。
長きに渡るハワイ島の人々との関わり合いから、すでに沢山の人脈があったため、プロデュースをする立場としてもやりやすい。
そして、何より、受け入れてくれる人々が沢山いるであろうという期待。
それらの好条件もライブの実現へのハードルを低くしました。
さて、Joe Okuda氏とのライブをコラボレーションしてくれるアーティストを考えた時、私の脳裏には那須シズノさんが最適だとのアイディアが浮かびました。
シズノさんはハワイ島のVolcano在住のコンテンポラリーダンサー。
もともとは日本やヨーロッパで活躍されていましたが、結婚を期にアメリカへ渡りニューヨークなどでパフォーマンスをされていました。
その後、ハワイ島へ。
スピリチュアルなダンスを創造する彼女にとって、ハワイ島のエネルギーはインスピレーションの宝庫だったでしょう。
彼女との出会いは、同じくVolcanoで活躍する彫刻家、Randy Takaki氏を介して、数年前にさかのぼります。
何度かパフォーマンスを拝見し、素晴らしいダンサーだと思っていました。
「明治神宮の森」のDVDを見せる時にハワイの観客に喜んで頂くためには、「日本」を理解してJoe Okuda氏とともに表現をしてくれる人でなければいけない。那須シズノほど適任はいない、そう思い込んだ私は1月末、彼女をVolcanoの自宅に尋ねました。
Hiloから約1時間。標高1200m。
火山国立公園に隣接するVolcano Villageという小さな町。ひんやりとした空気。夕方になると舞い降りる霧。
そこにシズノさんはご主人の画家、坂口登(すすむ)さんと住んでいらっしゃいます。とってもステキな山小屋式の家。
手入れの行き届いた芝生の広い庭。バックヤードにはシダの森。沢山の種類の鳥たちが声を競うように鳴いています。
吹き抜けの天井が高く、薪の暖炉まであるリビングは、ここがハワイ島だということをしばし忘れさせてしまいます。
ラナイで花をついばむ鳥たちを見て、ますますここが、今回のライブイベントに理想的な場所だと、確信しました。
ハーブティーとクッキーをいただきながら、おしゃべり。
ゆったりとした話し方をするシズノさん、いつもニコニコしているすすむさん。
事前にJoe Okuda氏の作品や資料を送っておいたためか、シズノさんはJoe Okuda氏とのコラボを快く引き受けてくださいました。
その晩、シズノさん宅に宿泊。
これまでの作品についてお話してる間に、シズノさんが奄美大島の唄者である「朝崎郁恵」と20年来の友人だということがわかりました。そして、2010年12月に、東京でコラボをしたばかりだったのです。
朝崎さんは、Joe Okuda氏のアルバム「AMAMI」にも唄を提供している方。
偶然ではあるものの、このつながりに驚かないはずがありません。
すぐに東京のJoeさんに報告すると、彼もその偶然にびっくり!
そして、夜は更けて。
食事の後片付けをしながら、彼女の生い立ちに話が及んだとき、シズノさんが大阪出身ということがわかりました。
私がJoe氏の地元の名前を言うと、なんと、彼女も近所出身で、具体的な地名と卒業した学校名を教えてくださいました。
私はすぐにJoe氏にメールをして、翌朝返事を読むと、なんと、二人は同じ学校に通っていて、しかも、1年違いということが判明。
「あの、那須シズノさん?覚えてる!バレエをやっていて、きれいな人だった!なんで?どうなってるの?」
40年以上前、那須シズノさんと、Joe氏は、同じ小学校と中学校へ一年違いで通い、Joe氏はシズノさんのことを良く覚えていたというのです。
もちろん、私はまったくお二人の出身校については知る由もありません。お二人の年齢も良く知らずに、結び付けようとしていたわけです。
偶然?それにしては、あまりにもできすぎたお話。これはハワイ島の導きなのでしょうか?
※左から、すすむさん、シズノさん、お二人のご友人すみれさん。
シズノさんは「この出会いには、きっと、何か理由があるんですね。このイベント、必ず成功させましょうね。」とおっしゃってくれました。
その時は、シズノさんが「大阪のおばちゃん」的なノリがある方とは見抜けず・・・(笑)。
もう一人、コラボをしてくださることになった、お琴の奏者、渡邉志保さんとの縁にも恵まれました。
渡邉志保さんとの出会いも、まるで用意されたような不思議な偶然の末でした。
彼女は「ヒロ大神宮」宮司さんの奥様。私は明治神宮のDVDを正式奉納させていただき、イベントの成功を祈願しました。
そして志保さんは、イベントの開催まで、まるでスタッフの一人のように私たちをサポートしてくださいました。
これ以上のお膳立ては無いであろう・・・・ハワイ島の女神、Peleに感謝。
そして全ての出会いに感謝。
私はイベントの成功を確信し、10日間の準備の滞在を終えて、日本へ帰国しました。
Vol.3へ続く
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Vol. 3 。。。予告
3月11日。
朝からうす曇の東京。
その日、那須シズノさんが、日本でのライブを行うために来日しました。
彼女が関西へ向かう前に、5月のライブの打ち合わせを行うことになり、午後4時に池袋のホテルで待ち合わせとなりました。
1時過ぎ、シズノさんから成田空港到着と電話。
二人の40数年ぶりの「再会」は、数時間後に迫っていました。
出来上がっていたチラシなどを用意し、さて、スタジオを出発をしましょうという2時半過ぎ。
ミシ、ミシっと不気味な音と体験したことの無いような強い揺れが始まりました。
甚大な被害と犠牲者、今も続く悲しみと苦しみを生んだ「東日本大震災」。
日本が、世界が変わってしまった日。
私たちは、DVDやCDが散乱するスタジオの窓から、呆然と、不気味なグレーの空を見上げていました。

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